女皆性犯罪被害者主張が苦手、それと身繕いコンプレックス

痴漢の話定期的に炎上するけど、ある時期から痴漢の話が盛り上がると悪い思い出が蘇って気持ちが暗くなる。

と言うとあたかも自分が被害に遭ったトラウマが……みたいな空気が出るが全然全くそれはない。何故なら自分は痴漢やらセクハラやらの被害に全然遭わないタイプだから。

 

私自身は性犯罪を嫌いだしセクハラやら痴漢も無くなれと思っているし当然加害者が悪いと思っているけど、それ系に言及する主張で頻繁に使われる言い回しがめちゃくちゃ嫌いだ。

前述した通り自分はその手の被害にマジで遭わない。だからそれ系のツイートでよくある「女性は誰でも生きているだけでセクハラや痴漢や性犯罪の被害に遭いまくっている」という言い方が本当に苦手で嫌いだ。

単純に嘘だと思う。多分愚痴っていると共感する人が集まってくるからその人の周りではそうなんだろうけど、私は違うし、「マジなの?」って呟いたら「自分も無い」って反応してきたフォロイーも居るから、少なくとも「誰でも」じゃない。

勿論被害の矮小化は良くないし、頻繁に被害に遭う人は大変だろう。だけどそれはそれとして、あの手の言い方が溢れ返りすぎているのは別の問題だと思っている。

 

 

自分がその手の言い方がめちゃくちゃ嫌いになったのは過去とんでもなく失礼なRTが回ってきてキレ散らかした時からだ。

もう過去だし、ふぁぼるの忘れたし、その時ははてなもやってなかったし、ざっと検索しても元ツイが見つからないけど私の夢ではない。

アンケート付きのツイートで、アンケートとしては「実際どのくらい性犯罪セクハラ痴漢等の被害に遭ったことがあるか?」というものだったのだが、「普通に生きていれば誰でも被害に遭って当然だと思うんだけど、マジで最低限の身嗜みをして女の形をしているのに全く被害に遭ったことがない人なんて存在すんの?」みたいなツイート文で、これがとんでもなくムカついて、普段から喧嘩っ早いツイッタラーだけどその時の自分はかつてないほどに怒り狂ってキレ散らかした。

だって自分は全然被害に遭わずに生きてきたから。それは本来良いことなのに、なんでそれを以て突然見ず知らずの人間から最低限の身嗜みすらできてない女の形をしていないゴミ認定されなきゃならないんだよ?いくらなんでもクソ失礼すぎるだろ。

 

これって「セクハラされるのは魅力的だからだよ、喜びなよ」というセカンドレイパーの常套句と全く同じというか、更に無礼極まりない形に進化させた主張でしかないんだけど、発言者はそれ分かって言ってたんだろうか。

まあおそらく、頻繁に被害に遭うタイプの人から見れば自分のような人間が存在することが本当に信じられないんだろうけど、被害者として主張している割に加害者が加害を正当化する時の論理を内面化していて普通にヤバイし、自覚してなんとかしてほしいと思う。

今もうそのツイートが見つからないから、ツイ主がその後どう考えたのかとかは全然分からないけれども。

 

自分は外見コンプが特別強いわけではないけど、それでも件のツイートでめちゃくちゃ怒ったし、かなり傷付いた。被害者ヅラした奴に知りもしないくせに、そいつが憎んでいる筈の加害者と同じ理屈で急に殴られたのでシンプルにムカついた。こんなの通り魔だ。

「セクハラされるのは魅力的だからだよ」なら、そのまま受け取ってもまだ「まあ(されないのは)並だからな……」くらいに逃避もできるけど、「最低限の身繕いをして女の形さえしていれば皆被害に遭う」とか言われたらマジで自分はなんだ?異形か?って感じだし本当にめちゃくちゃ失礼なこと言ってると思う。今でも謝らせたい。

そんなわけないだろ!と理屈では思っても、でもやっぱり自分の外見がマジで度を越してキモいのかもしれない、言動がキモすぎるのかもしれない、もしかしたら臭いのか?(汗かきなので)などと不安になった。

本当はそのツイートを見る前からも少しはそう思っていたのかもしれないけど、でもそのツイートのせいで暫くはそういう不安が強まった。

 

そういうことがあったので、痴漢云々が盛り上がると毎回それを思い出して憎しみが蘇るし、女という性別でさえあれば皆被害に遭っている!だからこの気持が分かるはず!みたいな主張を見るとうっせー!!分かるかバーカ!!ケッ!消えろ!!失せろ!!と思う。

本当はそんな風に思うのはよくないんだろうし、自分だって性犯罪はクソだと思っているけど、急に度を越したブス認定をされた経験がマジで嫌すぎて怒りに支配されてしまう。

 

そもそもそういう問題について考える時に共感をベースとして連帯しようとすること自体が悪手なんじゃねえのかなあ……とも思うし、自分の反応は極端だとしても、やっぱりああいう言い方はやめた方がいいんじゃねえのかなあ……と思う。

ああいう言い方は被害に遭わないタイプの女を「女」から疎外するし、無駄な分断と対立を生むから本当にやめた方がいいと思う。やめて。

本当に事を解決したいなら、共感できない同性とも連帯しなければならないし、当然共感できない異性ともそうだし、ついでに共感できる異性すら排斥しかねない言い方はやはり不適切だと思う。

あと、あれを真に受けると結局「何らかの被害を以て一人前であることを確認する」みたいなことになるので、被害を増やすことにもなる。

実際に自分はそういうのを割と真剣に気にして、そういう目に遭わない自分って本当に度を越したゴミなんじゃ……という不安に苛まれたこともある。自分は結果的に何も無かったけど、それで本当に危険な場所に飛び込んでしまう人とかが出たらどうしてくれるんだよ、あの手の主張する奴らはよ。

 

まあ今回の話でも「されたことない人には分からないんだろうけど笑」みたいなこと言ってる人もいるし、共感できる人同士でつるみたいだけだからああいう言い方をしている層も居るんだろう。

それならそれで自分もそいつらを憎むだけだし、俺はお前が嫌い!お前も俺が嫌い!以上!ハッピーエンド!なんだけど、もし悪意で殴り合いたいんじゃなく真剣に状況をよくしたいならそういう主張を振り回すことについて一旦考え直したらいーんじゃねーですかねー。

 

 

タイトル前半についてはこんなもんで、後半は痴漢安ピンは関係ない自分のコンプレックスの話を丁度いいので(?)繋げておく。

 

自分が本当に度を越して外見がゴミなのでは?と不安がっていたことについて、そんなん鏡見りゃ分かるんじゃないの?と言われそうだけど(いや知らんけど、シャドーボクシングかな)、自分にはそれがマジで分からなかった。

自分の外見偏差値がどのくらいかというのが分からない。良くはない事はわかるけど、並なのか、ダメなのか、めっちゃダメなのかが分からない。

三次元で現実に会う人間の外見に興味がなくて、良いのか悪いのかよく分からない。芸能人とか、画面を介して一方的に見る場合だと、まだ好みだとか好みじゃないとかが少し分かるのだが、直接会う人間に対してそういう感覚があまりない。

 

だから外見の良し悪しを基準にしたコミュニケーションがよく分からなくて漠然と苦手だ。

大学のサークルの時、なんかよく分からないけどやたら崇められている先輩が居て、何故なのか分からなくて戸惑い、どうやらその人が美人だかららしい、と気付いてから急に苦手意識が芽生えたりした。

まあ「お前がブスだから美人の近くで比べられるのが嫌だったんだろ」と言われたら、多分それもあるのだが、なんかこう現実にエンカウントする人間の容姿をいちいちジャッジしている人が結構多いっぽい、というのが自分の感覚からすると変で、馴染まなくて、それを感じる場が嫌だった。

そういう感じは『カノホモ』を読んだ時にも感じていて感想記事の時にも書いた。

 

oyasaibomb.hatenadiary.com

 

それから、三次元の互いの外見等が話題に挙がりにくいという点でもオタクのコミュニティに居心地の良さを感じているので、フォロイーのオタクがTL上でお互いの容姿を褒め始めたりすると、自分が話題に上がっているわけでもないのに勝手に居心地が悪くなってツイッターを閉じたりする。

あーオタクでも推しとかじゃない他人の外見も興味の対象なんだ、と本来当たり前らしい事実を認識してウッとなるし、自分とかって見るに楽しくない奴としてカテゴライズされてるんだろうなとか思う(これは多分自意識過剰)。

逆に、稀に褒めてくる人とかもいるのだがそれはそれでなんか嫌だ。褒められること自体は嬉しいと思うのだが、なんというかオタク(趣味の話をする相手)として繋がったのになんでそういう話題出すの……??みたいになる。お世辞だと思うのだがなんかこう、お世辞にしてもそれ嬉しくないのでちょっとできればやめてほしい。

 

元々、化粧とかファッションとか、そういう身繕いをすることが苦手で抵抗がある。(だから他人の外見の良し悪しはよく分からないけど、自分の外見は良くはないだろうということは分かっている。)

これは外見にコンプレックスがある、というのとは少し違っていて、「身繕いをすること」に対して苦手意識があるということだ。

外見コンプは、まあ人並みにはあると思うけど、自分がブサイクで日々死にたいみたいなのはあまりない。実際ブサイクなのかもしれないけど、よく分からないので、積極的にそれを嘆くことはあまりない。

具体的に自分の身体のどこかが嫌、みたいなことじゃなく、化粧をするとか、髪をどうにかするとか、服を選ぶとか、そういう行為に漠然と嫌なイメージを持っている。

 

多分その抵抗感は、元を辿れば母親の影響だと思う。

母は化粧を全然しなくて、自分が幼児の時に友達の幼児用コスメで遊んだりするとあまりいい反応をしなくて、「小さい時からやってるとすぐ肌が荒れるよ」とか言ってきた。それでなんとなく化粧は悪い行為だということを刷り込まれた。あと義務教育では化粧は禁止なのでそれとの複合効果もある。

ついでに、ある時期から髪がめちゃくちゃ剛毛の汚い癖毛になり、顔をどうしようが髪で全部ブスみたいな感じになったのもあり、外見を整えることへのモチベーションが湧かなかった。これは縮毛矯正をしてから一応クリアできたのだが、長らく汚い癖毛だったことは割と精神に悪かったと思う。

 

高校あたりでSNSを見始めたが、そこで女オタクの容姿叩きとかを目にする機会が増え、真に受けていたのでなるほど~自分はブスの集団に属しているブスなのだな~という自己認識ができていった。(実際この時期は本当にミリも化粧ができず髪も適当で外見が悪かったと思う)

 

化粧を覚えたのは就活が迫ってきた時で、ものすごく嫌々やり始めた。もうとにかく嫌だった。今は慣れてあまり抵抗が無くなってきたし、休みの日にする化粧はやや楽しくなってきたけど、なんかまだ根本が嫌だ。

だから稀に「化粧上手くなったね」みたいな褒め方をされると、それ自体は嬉しいけどつい「嫌々やってる」と付け加えてしまう。

 

ちなみにこういう身繕いに対する苦手意識ができていく上で異性からの目線はほとんど存在しなかった。いちいち全部のことを覚えてはいないので全く無いとは言い切れないけど、自覚している限りでは無い。

異性から容姿を罵られた経験とかは幸運なことに無いし(単に異性と関わる機会がなかったとも言う)。

 

女オタクの容姿叩きって男がしている印象があまりなくて、まあもしかしたらあったのかもしれないけど大抵女オタク内でのマウントを見てきたので、容姿の話だと自分は異性より同性が怖い。

化粧してない女とかマジありえないみたいなツイートがバズってるのも大抵化粧してる側の女だし。

というところで前半の自分がキレ散らかしたツイートの話に繋がるのだが、結局あれも含めて、自分の外見を繕うことに対する漠然とした恐怖はほとんどが同性からもたらされているのだよな。

まあ根本的には男優位社会のルッキズムがどうのこうのみたいなも関係あるんだろうけど、直接的に自分の場合の原因になっているのはむしろ同性だった。

 

自分はセクハラ他の被害に遭わないタイプなので異性に対するその手の憎しみが無い。それもあって、その手の話題になると悪いのは加害者(痴漢とか)だと分かりつつも、自分にとっての直接の加害者はこのむしろ女じゃねえかよ、となってしまう。

こういうこと言うと被害に遭うタイプの同性からは怒られるんだろうけど、自分がその手の人達の一部の言動に本当にショックを受けたのも事実なのでやっぱり寛容にはなれねーなぁ。

おしまい