https://x.com/cthulhumasters/status/1866007257034752378?s=46&t=EdY75X-KeHWJzgyQWwLsmQ
クトゥルフ神話TRPG公式Xアカウントのこちらのマシュマロ返信が話題だが、ここから始まった一連の流れにおいて、CoC同人シナリオ及びそのプレイヤー層に関していくつか嘘すぎる主張が見られるので、それについて書く。
この手の話題は書いている奴が何者なのかがそこそこ影響するため明かしておくと、筆者はCoCが最も多いものの他システムもプレイするTRPGerである。
以下の筆者の詳しいTRPGプレイ歴は、まあ別に読まなくてもいい。
──読まなくてもいいゾーン──
初めてのTRPGはソードワールドのオフセ。10年以上前である。
次がネクロニカのオンセ。
その後暫く、プレイしていないがニコニコでリプレイ動画・リプレイ風動画を見ていた時期があり、ここでクトゥルフ神話TRPG(CoC)に興味を持つ。
後にオフでCoCをする機会があり、ここからCoCがメインとなる。
この面子を原型としたプレイグループがそのままオンラインに移行し、そこにTwitter(当時)のフォロワーが出たり入ったりしているのが現在の筆者のプレイ環境である。
その後モノトーンミュージアム、ダブルクロスなども遊んでいる。
まとめると、筆者はCoCのプレイ回数が多いものの、所謂「CoCしかやらないCoC民」ではない。
──読まなくてもいいゾーン──
今のTRPG界隈では、「CoCしかやらないCoC民」、CoCオンリー層とでも呼ぶか、これとそれ以外のTRPGer層との文化の断絶が激しい。
何故かは知らないし掘り下げないが、CoCオンリー層は、SNSでTRPGのプレイスタイルやGM・PLとしてのテクニック等について話すことを好まない人が多く、そういった話題は「学級会*1」として忌避される傾向がある。
一方CoCオンリー層以外のTRPGerはそういった話題で管を巻くことを、特に炎上や争いといったニュアンスではなく、普通に「TRPGの話題」として楽しむ傾向がある。(個人の見解です)
しかし現在TRPG人口としてはCoCオンリー層が厚いため、「話題の発端はCoC又はCoCオンリー層なのに、当事者はそれについて言及を避けていて、その層と文化が断絶しているその他のTRPGerだけがその話題で盛り上がっている」ということがよくある。
それ故に、最近の*2CoC同人シナリオを遊ばない・それらに詳しくないTRPGerが、CoC同人シナリオ界隈について誤った認識・推測を喋り、当事者層による訂正が入らないまま、あたかもそれが真実であるかのように話が展開している例が少なくない。
今回も途中までかなりその気配があった。
実際は筆者のような「最近のCoC同人シナリオもやるし、それ以外もやる」という中間層も当然存在しているのだが、ことXでこういった話題が盛り上がる時にはいまいち埋もれている。
自分のようなフォロワー数も少ないやつが記事を書いたところで状況が変わるとは思っていないが、あまりにも嘘すぎる主張に対して「それは違うよ」と書くのにXは文字数が足りないのでこの記事にする次第である。
記事内容は全て私が一人で考えたわけではなく、一連の流れで「これはマジでそう」と思った誰かのポストの内容のパクリなども含まれる。
見たポストを全て保存しているわけではなくもう辿れないので引用できないのは許してほしい。
私が何か新しい主張をする記事ではなく、CoC同人シナリオ界隈にまあまあ詳しい・内部に居る奴が関連の話をまとめた程度のものとして見てほしい。
CoCオンリー層は、単にCoCしか遊ばないというだけではなく、そのプレイスタイルが「最近のCoC同人シナリオの流行」と深く結びついている。とされている。
この「最近のCoC同人シナリオ」に典型的であるとされるのが、キャラクター・ストーリーを重視したシナリオ*3とそれに合わせたプレイスタイルで、所謂最近のCoC同人シナリオをプレイする層の中には、それに最適化されて発生した様々な「ポピュラーなローカルルール」と言うべきものが存在する。
その中で有名なものが例えば秘匿ハンドアウトであり、また今回話題になっている「KPC」なわけだ。
さて、公式Xのマロ返に戻ってみよう。
上のポストを見れば分かる通り、質問者もCoC公式も、「KPC」という単語は一切使っていない。
にも関わらず、引用リポストやその他反応では「KPC」の運用に関するコメントが多い。「この回答はKPCを使うことを否定している」と取っている人も居るようだ。
ちなみにこの「公式はKPCを使うべきではないと言っている」と受け取っている人、というのが、私の見た範囲では、「自分はそういうプレイをしないけれども、公式はKPCを使うべきではないと思っているのだ。」という立場しか見ていない。
該当ポストへの引用では「KPCを使うセッションをしているプレイヤーが、それを否定されたと騒いでいる」みたいな話をしている人もいるのだが、そっちは今のところ見かけていない。
まあそのあたりの層はあまり引用をしないタイプだろうし、さほど熱心に探したわけではないのでどこかにはいるのかもしれない。
まず前提として、「KPC」とは何か。
上でも述べた通り「KPC」は公式ルールに存在しないローカル用語である。
ローカル用語だから当たり前と言えばそうだが、まず「KPC」が実際のセッションにおいてどういった存在を指しているのかをよく分かっていないまま言っているらしき反応が割とある。
その一例が、記事タイトルに引用している「(この回答が)流行りのKPCという存在を一刀両断している」というものだ。(筆者はこの主張を否定しているので晒しみたいになるし元ポストを見失ったので引用はしない)
質問者も公式も「KPC」という単語を一度も使っていないので、あの回答がKPCという存在を一刀両断していると取るのであれば、回答内で否定されているものが「KPC」である、ということになる。
公式回答の中で何かを否定している部分は、
キーパー自身が探索者(PC)としてゲームに参加することは想定されていません
NPCが探索者より活躍するなんてことは絶対あってはなりません
この2点だろうか。
ではKPCとは、KP自身がPCとしてゲームに参加して、PCより活躍すること、なのか?
実態としては、特にそんなことはない。
KPCはローカル用語なので、指し示すものがはっきりと一つに定まっているわけではない。
整理すれば主に2種類になる。
1つが、シナリオ内のヒロインポジションやキーパーソンに、KPの手持ちPCを当て嵌める、若しくはそのセッション用にKPが新しくそのポジションのキャラクターを拵えるものである。
何故ここで「NPC」と区別してわざわざ「KPC」という単語を使うのかという点には、先に述べたストーリー・キャラクター重視シナリオの流行と同時に、CoCの「同人シナリオ市場が賑わっている」という状況が深く関わっている。これについては後で述べる。
2つめは、人数指定シナリオのPLが足りない時や、参加PCのステータス・技能的にシナリオ進行に不安がある場合のフォローとして、KPの手持ちPCを同行させる場合である。
実際のシナリオ・セッションにおいてはこの2つを兼ねている場合もある。
例えば「特定シーンではシナリオに指定された役割があるが、探索パートではPCのサポートをする」といった場合だ。
しかし基本的にはこの2タイプのグラデーションである。
この記事ではとりあえず、1つめのタイプを「代替NPC型KPC」、2つめのタイプを「サポーター型KPC」と呼ぶことにする。
さて、代替NPC型KPCにしろ、サポーター型KPCにしろ、実際のセッションにおいて、「KP自身がPCとしてゲームに参加」することは普通は無いし、「PCよりも活躍」することは思われているより難しい。
理論的にはそういうことも可能だし、中にはそういうヤバい、若しくは技量不足なKPも居るだろうが、それは最近のCoC同人シナリオ界隈において想定される一般的なKPCの運用ではない。
サポーター型KPCは、公式回答内で言及されている。
集まったプレイヤー人数がシナリオで推奨される人数に足りず、技能や戦闘でフォローをするためのNPCを登場させることは否定されるものではありません。
ここである。
その後にそうする場合の注意点が書かれているが、別にサポーター型KPC(のような運用)を使うなと言っているわけではない。
KPCではなくシナリオにくっついている固定のお助けNPCにも当てはまる、一般的なアドバイスだ。
実際のセッションにおいても、普通のKPであれば、サポーター型KPCをPCと同等に扱って、シナリオ内容を知っているから謎解きで無双をするみたいな運用は、しない。
しているとすれば、それはそのKPがヤバイ奴なだけだ。
普通はPCが失敗した技能をKPCも振るとか、戦闘時の頭数として参加するといった具合だ。
KPが積極的にKPCを動かすようなことはなく、PCに付いて回り、PLからの要望や指示があった時にその通りに動く程度である。
謎解きや行動に詰まった時にそれとなくKPCのRPを通じて誘導するようなことはあるが、それはKPからPLに対して一般的に行われるサポートをKPCを使って演出しているに過ぎない。
勿論公式回答にある通り、PC人数が少なくてもプレイできるように調整するとか、情報の出し方を工夫するなどの方法で、サポーター型KPCを使わずにプレイできる場合もあるだろう。
ここに関しては今のCoC同人シナリオに人数固定が多いこと、技能成功前提の作りをしている場合が多いこと、そういったシナリオにプレイヤー(KP含む)が慣れていることなども関連してくる。
だからサポーター型KPCを使うことが必ずしもベストではないのはその通りだ。
とはいえ、サポーター型KPCを利用しているセッションではKPCがPC以上に活躍している、という事実は、一般的にはない。
尚、「CoCは他システムに比してKPCがPCの活躍の場を奪いやすい」という意見を見たが、これにはそうか?と思った。
例えば戦闘に重きを置いたシステムでは、敵のステータスを知っているGMが敵に合わせたビルドのNPCを作れば、PCの活躍を奪ってしまうかもしれない。
しかしCoCのシステム的な重心は探索や謎解きであり、KPが積極的に動かさないNPC・KPCがPCの活躍の場を奪うことがそんなに起こるかというと疑問である。
また、CoC同人シナリオ環境における戦闘は「状況的にまあ戦闘になるだろうから戦闘にしとくか」みたいなものが多く、そこがシナリオ内のトロである場合は少ない。
故にKPCが参加して戦闘が早めに終わったとして、進行がスムーズになって助かることはあっても、PLのストレスになることは恐らくあまりない。
むしろ少人数で出目が腐ってダラダラと戦闘が長引く弊害の方が多い。
次に代替NPC型KPCだ。
CoC同人シナリオに詳しくない一部のTRPGerは、どうも最強KPCちゃんが大活躍する作者の自己満足シナリオを見せられてPCは活躍しない、みたいなものをイメージしているらしいことがうっすらと窺えるのだが、実際に評価の高いシナリオでそういうものは、ほぼ無い。
探せばそういうイマイチなシナリオは存在するだろうが、遊びきれないほどの同人シナリオが溢れている状況で、そういったものが高評価を得ることは多分無い。
では実際の代替NPC型KPCがどういうポジションなのかと言うと、専らシナリオヒロインである。
最近のCoC同人シナリオプレイ層は、PC同士の関係性の発展を楽しむ人が多い。
「うちよそ」などと呼ばれるプレイスタイルである。*4*5
既に親密なPCをシナリオヒロインのポジションに代入して登場させることは、PL・PCのシナリオ参加のモチベーションを上げるのに有効だ。
そういうプレイスタイルでは一人の探索者を継続で使い続けることも多く、シナリオの度に新しい知らないヒロインが出てくるのはヒロインに愛着を持ちにくいだけではなく、浮気みたいになって動かしにくいという場合もある。
CoC同人シナリオにおける代替NPC型KPCがヒロイン枠になりがちなことがよくわかるワードとして「ピーチ姫」がある。
これは所謂うちよそシナリオ*6において、KPCが「攫われたりピンチになってPCに助けられるのを待つ」というポジションになりがちなことから出てくる揶揄である。(主に「自分のPCが助けてもらえるほど好かれている前提の構造のシナリオを回すのってちょっと恥ずかしいな」的な話題で出てくることが多く、そういうシナリオ構造自体を下げるものではない)
多くの同人シナリオにおいて、代替NPC型KPCはPCが活躍するための配置をされており、「PCを差し置いて活躍」のようなイメージとはむしろ逆であることの一例ではないかと思う。
KPCというものが実際のセッションでどのように扱われているかは、概ね以上のような感じだ。
もちろんプレイグループによるが、CoCのキャラクター・ストーリー重視型同人シナリオをあまりやらないTRPGerのイメージよりは実態に近いと思う。
また、話題の流れで、「何故KPCというものが必要なのか。NPCと何が違うのか」といったコメントも見られたので、そちらにも少し言及する。
上でも述べたが、NPC代替型KPCを使用するシナリオでも、KPCのキャラクター性やビルドへの縛りが多く、新規でKPCを作ることを指定されるものもある。
これに対してじゃあNPCでいいじゃないか、NPCと何が違うんだという反応が見られるが、これは今のCoCで「配布シナリオが充実している」という状況に関係する。
配布シナリオに付属するNPCは、シナリオ作者のものである、という考え方がある。
シナリオを配布した以上NPCも遊んだ卓の自由にさせるべきだ、という考え方もあるだろうが、まあどちらもある。
その場合、作者のものであるキャラクターとセッションを通じて親密になったとしても、そのキャラクターをその後PCとして継続で使う(所謂「持ち出し」)ことはできない。
他人のキャラクターだから、というようなスタンスの問題を除いても、例えばそのNPCが生存可能なことや、セッションを通じた経験を元にしたムーブがネタバレになったりする。
配布シナリオが充実していて、誰がどのシナリオをプレイ済みなのか分からない、誰がどのシナリオを今後プレイするか分からないという状況では、名前や顔などが指定されたシナリオ固有NPCを継続利用することは難しい。
だからKPがそのセッション用に、シナリオに差し障らない範囲の余白をカスタムして、その後も自由に使用できるKPCを用意するという方法に合理性がある。
KPとPLが相談して好みに合うKPCを作った方が単純にモチベーション上がるという単純な話も勿論ある。
これにNPCと違う「KPC」という名前をつけることによって、「このシナリオのこのポジションは、固有NPCが存在しない。KPの手持ちのPCから条件に合うキャラを代入するか、このセッションのために合うキャラを作成せよ。このシナリオの間はシナリオに従って動き、それ以前も以後も、今回KPをするプレイヤーが所有するPCとして扱う」ということをワンワードで伝達しているのだ。
そんなことをローカルワードでボンヤリと共有するんじゃないよと言われたらそれはそうなのだが、こういった機能を表す言葉が公式には存在しないため、需要があって生まれてきたローカルワードと言えるだろう。
また、何故そういったシナリオを2PLではなく片方がKPCを動かすという形で遊ぶのか?という点に疑問を持つ人も居るようだ。
これに関して、「うちよそプレイ層は固定PCが多い上PLとPCの人間関係を区別できないので、進行役に徹するとハブられるから、という見解を見た」というポストが3桁リポストされていたのだが、これは実際にCoC同人シナリオでうちよそもやっているプレイヤーの実感としてはかなり嘘である。
いや、本当に1人の相手とだけ永遠にうちよそシナリオをしているプレイヤーが居たらその人と交流することはできないので、もしかしたらどこかにはそういう文化圏があるのかもしれないが、所謂うちよそシナリオは新規限定のものもそこそこあるのでずっと同じPCで(固定PCってそういう意味だよな?)同じ人と遊び続けるのはだいぶ無理がある。
そしてうちよそシナリオをやる人が1:1のうちよそばかりやっているということもなく、4PLなども普通にやることが多い*7。
うちよそシナリオが2PLでなくKPCを利用したタイマンの形を取ることが多いのは、単純に俺とお前のイチャイチャを第三者のKPに進行してもらうのは申し訳ないからだと思う。
だって興味ないだろ。普通に。
いや筆者はそれを見るのも楽しいし、割と好きな人もいるだろうけど、毎回誰かにKPをやってもらうのは面倒臭い。
イチャイチャを第三者に進行させる気まずさを置いておいても、PC同士の関係性構築に重きを置くプレイスタイルの場合、それまで2人がプレイしたシナリオの内容を前提にしたRPが出ることも多く、継続すればするほど第三者のKPに対してプレイ済みシナリオのネタバレが出る恐れがある。
だから2人の歴史を全部知っているどちらかがKPをするのが一番手っ取り早いのである。
KPCとは何なのか、どのように使われているのか、何故必要なのか、筆者が語れるのはこのくらいだ。
尚、この記事は「最近の」CoC同人シナリオ界隈の傾向の話をしているので、「かつてそういう迷惑GMがよく居て、GMのキャラが無双するセッションがよくあったんだよ」というような話とはまた別だ。
そういう歴史があったことは否定しないが、「今」そういう迷惑KPC運用が蔓延っていてそれをCoC公式が否定したのだ、というような認識は誤りだと言いたい。
CoC公式のマロ返は、普通にNPC(KPCにも当てはまる)を動かす時の一般的なアドバイスの話と読むのが適切だと思う。